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もりブログ(第30号)~物流2024年問題を考えてみる~



【第30号】「~物流2024年問題を考えてみる~」

フォレストファームの森です。こんにちは。

もりブログでは、最近のトレンドや月刊誌などに取り上げられた話題から、ITやAI、経営、販売促進などの中小企業の経営に役立つ情報をお届けしています。

今回は、IT総合情報ポータル「ITmedia」(運営会社:アイティメディア株式会社)に、「物流“2024年問題”がもたらす2つの“物価暴騰”シナリオ」といった記事(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2308/25/news082.html)が掲載されていましたので、物流2024年問題とは?を考えてみたいと思います。


<日本の物流業界の現状>

コロナ禍による行動制限が解除され、様々な活動が正常化してきた今日この頃、国内の物流業界で今、話題になっているのが、働き方改革(トラックドライバーの労働条件の変化)を受け、「2024年問題」という新たな問題です。

経済産業省・国土交通省・農林通産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」(2022年9月2日)では、「BtoB貨物については、経済の停滞等を受け、一時大幅に貨物量が減少したが、宅配便については、通販需要等の拡大により、取扱量の増加傾向がみられた。」とあります。





ドライバーの労働者不足も深刻で、また、ドライバーの労働時間も全産業の労働時間に比べ約2割も長時間労働を強いられているという現状を踏まえて、ドライバーの健康をサポートするために労働環境を整備しようということで、その働き方改革関連法の改正施行が2024年4月1日より適用されることに起因したのが、「2024年問題」です。



<ドライバーの労働条件はどう変わる?>

働き方改革関連法によって、2024年4月1日から「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用されます。具体的には、以下のように時間外労働が大きく制約されることになります。

 1. 連続運転時間は、4時間を超えてはならない。

 2. 休憩時間は、連続運転4時間の間に各10分以上で合計30分以上取得すること。

 3. 1日の総労働時間は、原則13時間以内で、上限は16時間。

 4. トラック運転手の残業時間の上限が年間960時間に制限される。

この規制に違反した場合、6か⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦が罰則として科される可能性があるとのことですので法令遵守が求められます。


<我々にどのような影響がでてくるのか?>

この法改正はトラック運転手の健康を守るということと、物流業界全体の労働環境の向上と生産性の向上を目的としているという面では、歓迎すべき法改正ともいえます。しかし、トラック運転手の労働時間が制限されると、日本のさまざまな産業に大きな影響が出ることが予想されます。一番には、物流費(輸送費)の値上がりでしょう。

労働時間が短縮されると、当然に運べる荷物量が減るわけですから、輸送量を確保するためには、1度に運ぶ量を増やす、輸送スピードを上げる、トラック運転手の人数を増やすなどの対策が必要になりますが、どれも、現実的には難しく、増えたコストは荷主が負担することになるでしょうし、コストを抑えるためにも、配送リードタイム(届け日)を伸ばすなどの協力も必要になるでしょう。

物流会社さんにも、1)配車業務の高度化(無駄を省く)、2)混載による稼働率の向上、3)ラウンド輸送(運んで行った先で「帰り荷」を積んで帰ってくる輸送)を徹底、などの業務改革、IT化を進めて頂き、少しでも物流費抑制をお願いしたいところです。


<おわりに>

今回は、トラック業界の2024年問題について検討してみました。エネルギー高騰が既に顕著になっている今日この頃ですが、さらに物流費が上がり、物価上昇が来年も続きそうな状況です。脱デフレとなって良いのかもしれませんが、価格転嫁を上手くできないと、業績悪化で苦しむ企業も増えそうですので、皆様もお気を付けください。


今回も最後までお読み頂きありがとうございました。

では、また次回、お会いしましょう。


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