こんにちは。フォレストファームの小野 慎介です。
前回のブログ投稿にて、「顧客視点の意思決定を阻害している」要因には以下の要素がある、という話をしました。
<組織要因>
・合意形成の弊害 …部門間調整で不本意な判断
・責任回避 …前例踏襲、判断の責任から回避
<心理要因>
・過剰な自信 …自社商品・サービスに過剰な自信や期待
・競合意識の欠落 …自分たちが顧客を選ぶ側だというおごり
<マーケティング思考要因>
・顧客の不理解 …顧客ニーズを正確に理解できていない
・絞り込み不足 …対象顧客を幅広く定義
・感覚的判断 …調査やデータが不足、判断に不使用
今回は、その中から、「顧客の絞り込み不足」についての解消の仕方をお伝えします。
改めて問いますが、皆さんは自社の顧客についてどれだけ理解していますか?
顧客の理解に関して「ニーズ」と「属性」に分類しましたが、今回は「属性」をテーマに進めます。
マーケティングの重要な考え方に「STP」というものがあります。
・S:セグメンテーション 市場を細分化する
・T:ターゲティング 細分化したどの市場を狙うか決める
・P: ポジショニング 狙う市場での自社の立ち位置を決める
すべての市場にアプローチするのは現実的に困難である。
すべての市場にアプローチするのは商売上非効率である。
すべての市場へのアプローチを試みると、むしろ誰向けの商品サービスか不明確になり、選ばれなくなる。
などの前提から、競争に勝ちより長く商売を続けるために、商売の対象とすべき市場を絞り、経営資源を集中投下し、良いポジション取りを検討する、マーケティング戦略精緻化フレームです。
そもそも商売は、この市場選びやポジショニングのフェーズで失敗している場合、「SNSでプロモーションをどうしようか」や、「キャンペーンで値下げしてみようか」などの小手先の対応では、挽回できません。
それほど、このSTPは経営およびマーケティングにおいて、基礎的かつ重要な考え方です。創業当初は問題のなかった市場も、環境変化により状態が変わっている可能性も高いため、定期的にSTPを整理して、ポジショニングが良いかどうかを見返しても良いでしょう。
市場を細分化する方法は、さまざまなアプローチがありますが、以下にいくつか一般的な方法を紹介します。市場を細分化する際には、それぞれのアプローチを組み合わせることが効果的です。
・地理的変数
国、地域、都市、気候、文化の地域差など地理的な要因に基づいて市場を分割します。
・人口動態的変数
年齢、性別、職業、所得、教育レベルなど、人口統計データに基づいて市場を分割します。
・心理的変数
消費者の態度、価値観、興味、意見など、心理的な要因に基づいて市場を分割します。
・行動変数
購買履歴、購買頻度、購買意向など、消費者の行動に基づいて市場を分割します。
このような要素で市場を細分化した後、自社が価値を提供できる対象を選ぶのがターゲティングです。
ターゲティングのポイントは、欲張って広くしすぎないこと。
×:「こういうニーズもたぶんカバーしているはず」「神奈川も東京も埼玉も対象になるよね」
〇:顧客が「まさに自分にぴったりの店・会社だ!」と感じてくれるような属性をターゲットにする
ターゲットを決めること≒自分が何者かを決めること
です。肝に銘じましょう。
この流れで私は何が言いたいかと言うと、新たな市場を開拓することも大事ですが、
こと中小企業においては、今いる市場をもっと絞り込み、より深く掘っていく戦略(市場浸透戦略)の方が、生き残りにおいては適切な場合が多い、ということです。
今いる市場をより細かく細分化し、顧客像をより明確にし、その顧客にバチっとハマった商品サービスを提供する。それにより、顧客の獲得効率を高め、ニッチ市場でナンバーワンのポジションをとる。
この戦略が最適な企業は、まだまだ多いと私は考えています。
ここで問われるのは、絞り込む勇気、です。
今より顧客が少なくなってしまうのでは?売上が減少してしまうのでは?
という不安に向き合い、それでも徹底的に絞り込んで攻め続ける。そんな経営判断が必要な局面です。
しかし、その先には顧客の獲得効率アップによる売上や利益の増加、ナンバーワン獲得による付加価値の向上など、メリットは十分見込めます。
もし貴社のマーケティング戦略について不安があれば、フォレストファームにお声がけください。
顧客インサイトの収集やマーケティング戦略の立案など、お手伝いします。
本日はここまでです。
次回もまた、「顧客視点の意思決定を阻害している」要因とその改善の仕方について詳しく語っていきます。ご期待ください。
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