みなさん、こんにちは!
フォレストファームの大川です。
今回は、『知っていると得をする「融資」を受けるためのテクニック』シリーズの第3弾としまして、相談するとき編(後半-①)をご紹介します。金融機関が融資審査に活用する資料についてお話しますので、ご参考になれば幸いです。
◎ 融資を相談するときに準備したい資料とは?
大前提として、金融機関は「財務分析」が大の得意です。その得意な財務分析をしてもらうために準備したいのが、以下4つの資料になります。
1.決算書(3期分)
2.資金繰り表
3.合計残高試算表
4.経営(事業)計画書
一部聞き慣れない資料もあると思いますので、後半-①の今回は、馴染みのある「1.決算書」についてお話します。今回の解説が、後半-②でご紹介する決算書以外の資料の理解に繋がるよう、ポイントを抑えてお伝えできればと思います。
1.決算書(3期分)
言わずもがなの会社の成績表です。初めに、なぜ3期分なのかをお話しますと、直近の1期が過去最高の成績、あるいは過去最低の成績であった場合など、単年度では会社本来の実力を正しく評価できません。3期分を比較することで、平均値やトレンド(増減傾向)などが見えてくるため、より正確に会社の評価(財務分析)ができるからなのです。
決算書は、『貸借対照表(B/S)』と『損益計算書(P/L)』の2つで構成されています。
損益計算書が、その決算期1年間の収支(成績)を表しているのに対し、貸借対照表は、決算期末時点の資産・負債・資本(純資産)の状況を表しています。損益計算書で計上された1年間の利益(損失)が、貸借対照表の純資産額に計上され、資本が積み上げられていく仕組みですので、貸借対照表は、会社設立当初から直近決算期末までの成績とも言えます。
財務分析といえば、損益計算書に計上される売上高や利益の額に目が行きがちですが、金融機関は、貸借対照表上の重要な勘定科目や財務指標を要チェックしています。これらの中から、特に知り得ておきたい重点ポイントについて、損益計算書および貸借対照表の勘定科目別に紹介していきたいと思います。
【損益計算書(P/L)の主なポイント】
・「売上高」と「各種利益」の金額および過去3年程度の平均値と推移(増減傾向)
…売上・利益の増減要因を把握して、説明できるようにしておくとよいでしょう。
・過去3年程度の「売上高総利益率(粗利率)」
…売上高総利益率は、(売上高-売上原価)÷売上高×100で計算され、本業の利益率を示す指標です。同業他社の平均値や優良企業の数値と比較することで、自社の現在地を確認したり、数値目標の設定(基準)に使われたりします。
・「当期純利益」+「減価償却費」で算出される数値(=キャッシュフロー)
…キャシュフローは、金融機関が最も重要視する財務指標で、1年間の事業で稼ぎ出した現金ベースの利益と考えられます。キャッシュフローは融資金の返済原資となるため、融資審査や企業の評価(格付)に大きく影響します。
【貸借対照表(B/S)の主なポイント】
・「純資産合計」がプラスなのか、マイナスなのか
…純資産合計は、貸借対照表の右下部分に計上されています。プラスの場合は「資産
超過」、マイナスの場合は「債務超過」と言われます。「債務超過」の場合は、融資
審査が非常に厳しくなり、今後の解消見込みと実現性を問われます。
・「短期借入金」と「長期借入金」の金額および過去3年程度の推移
…借入金は「金融機関からの借入金」と「代表者等からの借入金」の内訳に注目です。
「金融機関からの借入金」÷「キャッシュフロー」で「債務償還年数」が算出され、
債務償還年数は10年以内が良い企業と評価されます。
また「代表者等からの借入金」+「純資産合計」で「実質自己資本額」が算出されます。実質自己資本額がプラスになれば「資産超過」の企業と評価されます。
…借入金額の推移は「増加」している場合の理由(何で借りたのか)を把握しておくとよいでしょう。
・「現金および預金」の金額と過去3年程度の推移
…現預金残高は、平均月商の2ヶ月分以上あると安全性が高い企業と評価されます。
安定的に事業を展開するためには、少なくとも1ヶ月分以上は欲しいところです。
…現預金残高の推移は「減少」している場合の要因をチェックしましょう。
営業の赤字(損失)が原因なのか、あるいは借入金の返済負担が原因なのかなど
※「預金」ではなく「現金」が必要以上に大きい場合は、その実態に要注意です。
今回はここまでになります。決算書の中から金融機関が着目している勘定科目や財務指標を何となく捉えていただけましたでしょうか。融資審査のみならず、経営戦略を立案する上でも重要なポイントになりますので、ぜひご活用ください。次回は後半-②としまして、決算書以外の資料についてお話します。あわせてご拝読いただけますと幸いです。
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