金融機関の融資に密接する『信用保証協会』とは? ~事業承継特別保証編~
- 大川 貴
- 2024年10月25日
- 読了時間: 3分

みなさん、こんにちは!
フォレストファームの大川です。
今回も、金融機関から融資を受ける際の公的な保証機関『信用保証協会』で運用されている「保証制度」について紹介していきたいと思います。
第三弾は、中小企業が抱える経営課題ランキングで、常に上位にランクインする「事業承継」にかかる保証制度『事業承継特別保証』をご紹介します。主目的は、円滑な事業承継を支援するための保証制度ですが、その内容は、企業さまにとって多くのメリットがありますので、事業承継はまだまだ先と考えている企業さまにも、ご興味を持っていただけますと幸いです。
(参考)
中小企業が抱える経営課題ランキング
第1位 人手不足
第2位 事業承継
第3位 販路拡大
第4位 資金繰り
第5位 従業員の生産性向上
【事業承継特別保証】
この制度の大きな特徴は、以下の2つになります。
1.経営者保証が不要であること
これにより、後継者の負担が軽減され、事業承継を円滑に進めることができます。
2.経営者保証ありの既存の借入金(プロパー融資を含む)の借換が可能であること
とても画期的な要件で、経営者保証が不要となる上、プロパー融資を保証協会付融資へ
借り換えることができます。これにより、プロパー融資の枠を空けることができるので、
資金調達の幅を広げることにも繋がります。
もちろん、事業承継に伴い必要となる事業資金をあわせて調達することも可能です。
続いて、この制度をご利用できる企業さまは、以下のとおりです。
(1)申込受付日から3年以内に事業承継を予定していて、事業承継計画を有する法人
(2)事業承継日から3年を経過していない法人(令和7年3月31日までに事業承継実施)
(3)次の①~④までに定めるすべての要件を満たすこと
①資産超過であること(=債務超過でないこと)
②EBITDA(イービットディーエー)*有利子負債倍率が10倍以内であること
*EBITDA有利子負債倍率=(借入金+社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)
③法人・個人の分離がなされていること
*分離されていない例
・事業をする上で必要のない資金が、法人から経営者へ貸付けされている
・法人にとって重要な本社や工場などの資産を経営者が所有している etc.
④返済緩和している借入金がないこと(=条件変更をしていないこと)
上記のとおり、財務指標をクリアしなければいけませんが、私見としまして、こんな考え方を持っています。
もちろん、いま現在で財務指標をクリアしている企業さまは、すぐにでもご利用できますが、そうでない企業さまも、いまは要件を満たしていなくても、将来的に(事業承継時までに)クリアできれば、その時点で利用ができるということです。
いつか訪れる事業承継に向けて、目標とする明確な財務指標があることで、財務改善を同時に進められることも、この保証制度を知り得るメリットなのではないかと考えています。
冒頭にお話しました、事業承継はまだまだ先と考えられている企業さまにも、ぜひ知っていただきたい理由がここにあります。
その他、専門家(税理士や中小企業診断士など)に確認を受けた場合には保証料率が大幅に軽減されるなどのメリットもあります。
以下に、神奈川県信用保証協会のホームページ『事業承継特別保証』のページをリンクしますので、詳細をご確認ください。
今回は、信用保証協会の保証制度『事業承継保証』についてお話しました。
経営者保証の不要、プロパー融資から保証協会付融資への借換など、私が金融機関に勤務していた頃はタブーであった要件が制度化されていることに、中小企業支援の進化を感じています。
弊社でも、事業承継計画書の策定や財務コンサルティングなど、お手伝いできることがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
この度も、ご拝読ありがとうございました。
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