使わないともったいない! 厚生労働省の助成金~人材開発支援助成金とは~
- 大川 貴
- 2024年6月7日
- 読了時間: 5分

みなさん、こんにちは!
フォレストファームの大川です。
厚生労働省の助成金シリーズ第3弾となる今回は「人材開発支援助成金」についてお話します。従業員の教育訓練費用や訓練に参加した従業員の賃金の一部を助成してもらえる制度ですので、幅広い業種の事業者さまが活用できる助成金です。
人材開発支援助成金は、全部で6つのコースがありますが、今回は「アフターコロナ」・「SDGs」・「DX」・「高齢者の雇用促進」といったキーワードを背景にして、近年活用が増えている「④事業展開等リスキリング支援コース」の概要についてお話したいと思います。

(表1)
【人材開発支援助成金・事業展開等リスキリング支援コース】
1.どんな企業(個人事業者)が対象になるの?
細かい要件はたくさんありますが、ポイントは以下の5つになります。
① 雇用保険適用事業所の事業主であること(適用事業所番号があること)
② 訓練を受講する労働者は、雇用保険の被保険者であること(役員は不可)
③ 新たな事業展開やDX等に伴う訓練であること(詳しくは、以下4.でご説明します)
④ 事業内職業能力開発計画を策定して、職業能力開発推進者を選任していること
(助成金の申請をするまでに準備ができれば大丈夫です)
⑤ 10時間以上の訓練をOFF-JTで行い、受講者に訓練期間中の賃金を適正に支払うこと
2.助成金はいくらもらえるの?
以下、2つの要件より算出された金額の合計が助成額となります。
① 経費助成要件 … 教育訓練費用の75%(中小企業) ※中小企業以外は60%
② 賃金助成要件 … 1人1時間あたり960円(中小企業) ※中小企業以外は480円
※ 経費助成の限度額(1人1訓練あたり)は、以下のとおりです。(表2)
※ 賃金助成の限度額(1人1訓練あたり)は、実施訓練時間数1,200時間までです。

(表2)
例)教育訓練費用40万円、対象労働者1名、実施訓練時間50時間の場合
① 経費助成額 400,000円 × 75% = 300,000円
② 賃金助成額 960円 × 50時間 = 48,000円
※ ① + ② = 348,000円(助成額)
3.どのような教育訓練が助成対象になるの?
以下、大きく2つの訓練に区分されます。
① 事業内訓練 … 事業者自らが企画・主催・運営を行い実施する訓練
② 事業外訓練 … 社外の教育訓練機関に受講料を支払い受講する訓練
※ 新たな事業展開やDXに関連性のある訓練に限られます。
4.「新たな事業展開」や「DX」ってなんのこと?
事業展開等リスキリング支援コースの基本要件には、以下の2点が定められています。
① 事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練(事業展開とは、新たな製品や商品もしくはサービスを提供すること等)
② 事業展開は行わないが、事業主において企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)化やグリーン・カーボンニュートラルを進める場合に、これに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練
5.助成金を申請するスケジュールは?
① 事業内職業能力開発計画を作成して、職業能力開発推進者を選任する
② 職業訓練実施計画届等の申請書類を、訓練実施の1ヶ月前までに労働局へ提出する
③ 職業訓練を実施して、訓練実施機関へ訓練費用を、受講者(従業員)へ賃金を支払う
④ 訓練実施後2ヶ月以内に、必要書類を揃えて、支給申請書類を労働局へ提出する
⑤ 2ヶ月程度の審査期間を経て、承認されると助成金支給決定通知書が届き、まもなく助成金が振り込まれる
5.必要書類にはどんなものがあるの?
【計画申請時に必要な書類】
① 職業訓練を受講する従業員との「雇用契約書」または「労働条件通知書」の写し
② 職業訓練の「申込書」の写し
③ 職業訓練の「パンフレット」と「カリキュラム」 ※ 訓練実施機関で用意あり
【支給申請時に必要な書類】
① 職業訓練の「請求書」と「領収書」 ※振込明細票の写しも必要です
② 訓練受講者の訓練実施期間を支給対象とする月の「賃金台帳」または「給与明細」
③ 訓練受講者の訓練を実施した月の「出勤簿」または「タイムカード」
④ 訓練受講者の労働条件が明記された「就業規則」・「賃金規程」・「休日カレンダー」など
⑤ 職業訓練で使用した「テキストの目次」 ※ 訓練実施機関で用意あり
⑥ 職業訓練を受講している様子を撮影した写真など
*その他詳細の条件は、以下のパンフレットをご参照ください。
以上が、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の概要になります。
添付のパンフレットをご覧の通り、制度はかなり詳細なルールが定められています。
解読するには、相当なお時間と労力が必要になりますので、先ずもっては、今回のブログをお読みいただき、「もしかすると活用できるかもしれない!」と感じられた事業者さまは、ぜひ当社までお問い合わせください。
厚生労働省の助成金は、従業員の能力開発や賃上げをメインとした労働環境の向上を目的としたものが多くあります。企業の「人材」は「人財」とも言われますとおり、助成金を活用することで、事業者の皆さまの投資活動が進み、業績の向上に繫がり、従業員の方々の労働環境が向上されることを、心より望んでいます。
この度も、ご拝読ありがとうございました。
【人材開発支援助成金のホームページ】
Comments