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小説 フォレスト中小企業診断士事務所〜伴走者たちの協奏曲〜第21話



第21話「新たな販路の開拓 - 営業とSNSで広がる可能性」

設備投資の成果を携え、大正精肉店は「販路拡大」という新たな挑戦に乗り出していた。営業活動とSNSを活用した集客の二本柱で、地元から全国へ、その存在をさらに広めるための取り組みが始まった。勝氏はこの新たな挑戦に最初は戸惑いつつも、家族とフォレスト中小企業診断士事務所の伴走の中で自信を育んでいく。


リストアップから始まる営業活動

「営業って、どこから手をつければいいんだ?」と勝氏が呟いたのは、家族会議の場でのことだった。小池診断士は、勝氏の言葉を聞き逃さず、穏やかにこう提案した。「まずは、大正精肉店をすでに知っている事業者にアプローチするのが最優先です。SNSやこれまでの取引先など、既に繋がりのある方々をリストアップしてみましょう。」


架純はすぐにスマートフォンを取り出し、店舗のSNSアカウントを確認し始めた。「フォロワーさんの中には飲食店を経営している方もいらっしゃるので、ここからお声掛けしてみます。」その言葉にタカシも加勢し、「架純さんのSNS戦略はすでに成果が出ていますから、その力をさらに活かしましょう!」と鼓舞した。


こうして、家族全員でSNSや過去の取引先を基に事業者のリストアップを始めた。そのリストには、地元のカフェや都市部のレストラン、食品小売業者など、さまざまな可能性が広がっていた。


勝氏の初めての営業活動

リストアップが完了すると、小池診断士とタカシが同行して営業活動に同行することになった。最初の訪問先は、都市部にある人気の高級飲食店。勝氏は自慢の特製ソーセージを手に持ちながら、緊張した面持ちで店に入った。


「地元の食材を使い、昔ながらの製法で仕上げたソーセージです。」勝氏は最初、ぎこちない口調だったが、小池診断士とタカシがさりげなくサポートする中で、次第に自然な語り口へと変わっていった。


試食をしたシェフは「風味が素晴らしい。ぜひ、うちのメニューに加えたい」と言葉を漏らした。その瞬間、勝氏の表情は喜びに満ちたものとなった。「自分が作ったものがこんな風に評価されるなんて…」と心の中で思いながら、勝氏は初めて営業活動の楽しさを感じた。


SNSで広がる集客の輪

一方、架純はSNSを活用した集客策をさらに強化していた。商品の製造工程を紹介する動画や調理例の投稿に加え、「フォロー&リツイートキャンペーン」を実施。参加者の中から抽選で特製ソーセージをプレゼントする企画を打ち出した。


「お父さん、ちょっと撮影のモデルになって!」と頼む架純に、勝氏がぎこちなくポーズをとると、家族全員が笑いに包まれた。その投稿はSNSで大きな反響を呼び、多くの「いいね」とコメントが寄せられた。


「若い世代の反応が想像以上に良いですね。これをきっかけに、さらに販路を広げていきましょう」と架純は意気込む。その言葉に、小池診断士も「SNSを活用した集客の可能性は無限大です。この波を上手く乗りこなしましょう」と背中を押した。


営業活動が生む成長と喜び

営業活動を重ねる中で、勝氏の自信は次第に高まっていった。「営業って面倒だと思っていたけど、直接お客様と話すのは悪くないな。」そう語る勝氏の表情には、初めて挑戦した頃の不安はもう見られなかった。


家に帰ると雅子が「最近、営業に行くのが楽しいみたいね」と笑顔でからかうと、勝氏は少し照れながら「まぁな」と短く答えた。その言葉には、自分の成長を認める静かな誇りが込められていた。


経営改善の着眼点と支援のポイント

既存の繋がりを活用:SNSや取引先など、既に大正精肉店を知っている事業者へのアプローチを優先。

家族の役割分担:架純のSNS運用と勝氏の営業活動を組み合わせた販路開拓を推進。

楽しみながら成長:営業活動を通じて、勝氏自身が成長し、経営者としての新たな一面を発見。


営業活動とSNSの活用で、新たな販路を着実に広げる大正精肉店。家族が一丸となって挑む姿は、この先の成功を確信させるものだった。次回は、これらの取り組みがさらなる成果として実を結び、事業が一段と成長する様子が描かれる。

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