年商1億円企業の次のステップ 〜財務編③〜



こんにちは!

中小企業診断士/フォレストファーム取締役の小池です。

今回は、貸借対照表の見方のおさらい的な意味で、実際の企業の貸借対照表を見ながら理解を深めていきましょう。




図1はとある上場企業の貸借対照表の2期分の「資産の部」をあらわしたものです。上場企業は有価証券報告書や決算短信という形で決算内容を所定のルールに従って公表しなくてはならないルールになっており、この通り誰でも見ることができることになっています。


2022年3月期の流動資産は271B(Bはbillion、10億円ですね。なので2710億円です。)、固定資産が815B、合計資産は1,086Bという莫大な資産がある会社ということがわかります。お金にできる資産がざっくり1兆円ある、ということが分かりますね。

前期と比較すると流動資産は3B減少している一方で、固定資産は49B増加しています。


建物や機械のような資産は、毎期「減価償却」といって価値が減った分を計上している資産の額から一定額を減算していきます。なので通常、新たな投資をしなければ固定資産というのは減っていくのが一般的です。しかしながらこの会社は、減価償却額分を49B上回る投資をしているということが分かります。


さらにその中身を見ていくと、有形固定資産の中の「建設仮勘定」という勘定科目が53B増えていることが分かります。なんと530億円も建設仮勘定が増えているのです。

建設仮勘定とは、建物などの建築中のもののことで、この決算日にまだ完成していない建物があり、総額は218B(なんと2180億円!)もあるということが分かります。何か大きな大きな建物を建設中なのでしょうか。


このとある上場企業とは、国民的な人気のあるネズミのキャラクターが主役のテーマパークを運営している会社です。テーマパークの他にホテルや商業施設、モノレールなども運営しており、莫大な固定資産が計上しているのもうなづけるかと思います。


流動資産271Bのうち現預金が199Bあり、流動資産の73%、総資産の18%を占めているというのも特徴の一つかと思います。いわゆるハコモノが必要な業態にも関わらず現預金がこれだけ多くあるというのも珍しいのではないかと思います。キャッシュリッチな優良企業、と言えるのではないでしょうか。


たった一枚のシートですが、これだけのことが読み取れるわけです。

この後、「負債の部」、「資産の部」も読み取っていきましょう。